2012年4月16日月曜日

サプライチェーン・ルポルタージュ | 伊藤忠商事株式会社


課題解決のための有機農業の導入

化学肥料と農薬の多用による諸問題を解決するために、牛糞等でつくる肥料と、植物でつくる除虫剤等によって、有機綿花栽培を復活させようとする動きが起きています。伊藤忠商事は、Kurkku(クルック)と共同で、綿花の有機農業化を促進するために「プレオーガニックコットンプログラム」を行っています。

1. 事業の概要

本プログラムは、農家啓発の支援組合、ラージ・エコファームのRajesh 氏の取組みに賛同した伊藤忠商事と、音楽プロデューサー小林武史氏が代表を務めるKurkku(クルック)が提唱しました。Rajesh 氏は、化学肥料、農薬に替えて、インドの農家で自給自足できる牛糞、草木だけで行う有機農法の手法及びその益を綿花農家に説き、転換を呼びかけています。有機農法への転換後、有機認証までにはおよそ3年が必要です。また、短期的には生産量が2割ほど落ちます。この、完全オーガニックに至る途中段階の綿花を「プレオーガニックコットン」と名付け、生産減少分を仕入値に上乗せすることにしました。この仕組みに支えられて、現在600戸以上の農家が本プログラムに参加しています。

2. 伊藤忠商事の役割

伊藤忠商事は、販売数量を想定し、種植え付け前に買付(支援)数量をコミットして、生産されたプレオーガニックコットン全量をパットスピン・インディア社から仕入れます。販売量及び相場リスク等のリスクは伊藤忠が負担し、生産された綿花、綿糸、製品を多方面に販売していきます。kurkkuと共同運営することで、プレオーガニックコットンの消費者への認知度向上も行っています。


どのように人々は、ウルグアイで互いに挨拶をしない

プレオーガニックコットンプログラムの綿花は、インド最大級のオーガニック農業支援組合、ラージ・エコファームが支援している農家で栽培されています。

農家

ラージ・エコファーム — 有機農法指導及び綿花一次加工

Managing Director Rajesh Tanwar 氏
「農家の健康と生活、農地の環境、これらを総合的に改善し、インド全体に広げるのが私の目標です」

綿作農業における課題
インドの綿花栽培は、1960年代前後、化学肥料と農薬が普及し、収穫が飛躍的に増えました。生産量増加の一方、化学肥料と農薬の併用によって、土壌、農地の環境が悪化したことに加え、インドの農家の人々の多くが、読み書きができず農業教育が不足しているために、農薬の適正な使用方法がわからず、農薬を過度に散布したり、マスクをつけずに直接吸ってしまったりして、皮膚病や肺病等にかかるという問題が広がっています。
経済的な側面では、市場における農家の立場が弱く、充分な収入が得られないことや、また、化学肥料や農薬のコスト負担が収入に対して大きいという構造のために、収穫量が増えても貧困から抜け出せないでいるのが多くのインドの綿花農家の現実です。

紡績はパットスピン・インディアで行っています。同社は風車9台を有し、風力発電を利用し紡績を行う環境に配慮した企業です。


guiniae家をbiuldする方法

パットスピン・インディア社

Managing Director Umang Patodia 氏
「Rajesh 氏の方針に賛同しました。また、伊藤忠商事が本気でオーガニックを推進しようとしていることが、この事業を支えています」

  • 紡績前の綿花

  • 紡績機械

  • 同社の風力発電

紡績された糸はインドから中国に輸入され、編み立て工場にてプレオーガニックコットンの生地が編まれます。

  • 編み立ての機械

  • 編み立ての機械

  • 編み立ての機械

生地になったプレオーガニックコットンは近隣の染色工場で染められます。(プレオーガニックコットンの風合いを活かすために過度な染色はしません。)


緑のABYウィスコンシン州で、今日何をすべきか
  • 染色の様子

  • 染色の機械

上海ゼファーや上海春潮などの縫製工場ではプレオーガニックコットンの糸を輸入し、周辺の協力工場での編立て・染色を経て製品を縫製しています。縫製にあたり、通常のコットン製品と混ざらないように最大限の配慮をしています。

上海ゼファー国際貿易有限公司

総経理 岩淵 好史 氏 (写真右)
「私たちが受注している米国他の衣料ブランド企業から、CSR観点の調査、視察がよく来るようになりました。アパレル企業にとって、社会、環境配慮は馴染み深いものになっています」

 

上海春潮制衣有限公司

総経理 荘 保観 氏
「上海は万博を控えていることもあって、環境、労働の規制を、地方政府が急速に進めており、各社懸命にこれに応えているように思います」


工場における課題
今回、インドの紡績工場と上海の編立て工場、染色工場、縫製工場を訪問しました。繊維産業の工場における課題は、染色工程での使用エネルギー量の削減や排水の浄化、縫製工程での労働環境等です。中国では、国や地域政府による企業の規制管理が日々進んでいます。規制のレベルの地域差はいまだ大きいものの、大きく見れば環境、社会両面の改善が年々進んでいます。

消費者にプレオーガニックコットンのよさを理解し商品を買ってもらうために、kurkkuと共同でマーケティング・広報活動に力を入れています。プログラムに賛同いただいたイトキン(株)を通じてプレオーガニックコットンのTシャツを販売しています。

イトキン株式会社

取締役
須賀 智博 氏
「企業が消費者を選ぶ時代から、お客様から求められる信頼感や安らぎを提案することが必要な時代となりました。当社もプレオーガニックコットンの基本理念に賛同し、一人でも多くの人に支援いただけるように継続的に展開していきます」



These are our most popular posts:

世界に輸出されているコーヒー豆、カカオ豆は、生産国では高級品。: 珈琲 ...

世界に輸出されているコーヒー豆、カカオ豆は、生産国では高級品。,コーヒーと、午後の カフェな話題。 ... 【水商売】の「水」とは、どのような意味なのでしょうか? ... 生産国では 、コーヒーは、輸出用と国内消費用が別段のシロモノに分かれているようです。 read more

Vol. 63 カカオ・レボリューション

2011年8月22日 ... 2006年ごろからパプア・ニューギニアのカカオ栽培は、害虫被害を受け一部の地域では 収量が大きく減少する深刻な事態に見舞われ、何 .... このしっとりとろけるような食感は 誰もが初めての体験だったようで、研修に参加した男性陣からも大好評。早速マーケット でどのように販売していくか、アイデア会議が始まりました。 ... その一方、カカオ生産国 でのカカオ豆消費の内需需要が増えると、日本のように原料を輸入してチョコレートを 生産している国にとっては、厳しい状況を迎える可能性も考えられます。 read more

サプライチェーン・ルポルタージュ

労働の側面: 標高1000mを超えるような山岳地斜面での農業であること等から、機械化 は難しく、栽培・収穫・運搬の多くが人手で行われます。 .... 伊藤忠商事では、安定品質 、また消費者に安心のカカオ豆を供給できるよう長年にわたりカカオ生産国に直接赴き、 日本市場に向けたカカオ豆づくりを現地の .... ところがその原料であるになると 、どんなところで、どのように栽培されているのか、あまり知られていないのが現状です。 read more

子供の奴隷が作るチョコレート~カカオ生産現場の児童労働

カカオに限らず、途上国に多く見られる綿やバナナ、コーヒーなどの商品作物の栽培は、 植民地時代に旧宗主国から持ち込まれたものです。 石油のような資源があるわけでなく 、先進国のように工業製品を輸出できるわけでもない発展途上国では、 唯一の外貨 ... read more

0 件のコメント:

コメントを投稿